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日本エシカルヴィーガン協会

ヴィーガンの人権について考える
~ カナダ・オンタリオ州でヴィーガンの権利認定に前進 ~

2016年3月6日 | news, news-top

カナダ・オンタリオ州では、「ヴィーガニズム」も人権保護の対象となりうることが示されました。社員にヴィーガンがいるのに懇親会をステーキハウスで行ったり、革製品を使ったユニフォームを強制したり、病院でヴィーガンな患者に肉を出したり、学校で解剖実験を強制したりすることが、「人権侵害」に問われる可能性が高まりました。とても参考になる事例ですので、詳しく解説いたします。

規定の位置付け

カナダでは、憲法の一部「カナダ人権憲章」(日本語での経緯解説)で基本的人権を定めてます。ヴィーガニズムに関係するものとしては「思想の自由」などがありますが、人権憲章では大まかな規定が定められているのみです。

オンタリオ州では、1961年に「オンタリオ州人権委員会」という人権機関を設置しています。ここで制定された「人権規定」をもとに「オンタリオ州人権審判所」という機関が解釈を行って運用されます。人権規定は、個別分野ごとに別途「指針」が制定されることがあります。今回の「信条」についての指針は180ページもある膨大なものです。

規定・指針の内容

人権保護の対象
人種,皮膚の色,先祖,出生地,市民権,信条,性別,性的指向,障害,年齢等

人権保護の内容
住居、サービス提供、雇用、契約、労働組合/職能団体における差別

同州の人権規定では、左図の差別を受けないように定められてます。拘束力のある法律ではないものの、人権侵害事案があった場合にはこの規定・指針が判断基準となるため、法律に準じた位置付けです。

このうち、今回は「信条(creed)」に関する指針の大幅改定がありました。これまで明文化されていなかったものの、信条は「宗教」と同義とされてきました(宗教に付随する休日の取得、食事の禁忌など)。ところが、近年の思想の多様化に伴い非宗教的な信条が個人の行動指針に大きく影響を及ぼすようになっている現状を踏まえ、それらも人権保護の対象にするという画期的な改定をしました(2015/9/17制定、12/10公表)。

背景として、これまでに同規定の信条を根拠とするヴィーガンに関連した裁判も影響しています。動物愛護をテーマにした論文を却下された学生の裁判やヴィーガニズムや人種を理由に住居を断られた裁判では、ヴィーガンとは関係ない箇所が争点となったことから、ヴィーガニズムが信条にあたるのかの解釈はなされませんでした。但し、判決文でもヴィーガニズムが保護すべき信条にあたることが示唆されていたり、課題として認識されていたようです。

今回の改定に向けて、数年かけて議論がなされてきた過程では、弁護士も抱える動物愛護団体 Animal Justice が働きかけをしており、それも影響したのかもしれません。

指針の具体的な対象

指針では「信条」の範囲を明確には定めておりません。限定列挙をすると運用に問題があるからです。その代わり、一般的な特性と例示をしています

人権保護対象となる「信条」に求められる一般的特性としては、例えば、個人のアイデンティテイとなるようなものであること、人間の存在意義に関わること、団体やコミュニティがあることなどがあります。

単なる個人の趣味では「信条」にならず、また、政治的な思想も除外されています。一方、「信条」はその質・道理・科学性とは関係なく認められるべきとなっています(UFO教のようなものでも上記特性に適合すれば人権保護対象として認められます)。

また、憎しみや暴力を生むようなものも「信条」から除外されています。白人至上主義等を念頭に置いているのでしょうがヴィーガンにも関係ある点です。動物愛護活動家のなかには、無分別に怒りをぶつけて暴力的な手段を用いたり、他の方の権利を侵害するような方もおりますが、非難されこそすれ保護は当然にしてなされません。

具体的なケースの例示としてヴィーガンに関係するものもあります。「精神病院患者がその信条に基づいてベジタリアン食を要求し、自分で食べに行くことも自炊することも許されていないような場合、施設はそれを満たす食事を用意する必要がある」と示しています。一方、解釈の行き過ぎを防ぐため、「ステーキハウスが動物性の食事しか提供しなくてもベジタリアンに対する差別にはならない」と示しています。

法律家の解釈によると、学校はその信条に基づいて解剖を拒む学生に代替手段を用意する必要がある、企業はその信条に基づいて動物性(革・毛皮等)のユニフォームを着られない社員に代替手段を用意する必要がある、また、企業はその企業文化がヴィーガンな社員を除外するようなものであってはならない(定常的に行う懇親会をステーキハウスで行うなど)、などの可能性も想定されています。

人権委員会のRenu Mandhane委員長が、「本指針にてエシカル・ヴィーガニズムが信条であると認定したかのように広まっていますが、それは間違いです。その判断は審判所が行います。」と語っているように、現段階ではまだ認められたわけではありませんが、変更の経緯等からして、今後の裁判においてヴィーガンの要求内容に合理性があれば、権利侵害が認められる可能性は高くなったと言えます。革などを含むユニフォームなら、なぜそのドレスコードがあるのか、それがどれほど大きな問題を生んでいるのか、代替手段はないのか等が問われることになります。

今後は、具体的にどのようなケースで認められるべきなのかについて、ヴィーガンの間での合意形成が必要と思われます。また、同じ考えを持つ人の数が十分にいないと当該ヴィーガン対応をする経済合理性がないので、賛同する人を増やすことも重要になります。

1 件のコメント

    • 2016-03-09 01:11

    ツイートボタンを設置していただけるとありがたいのですがもし可能でしたらよろしくお願いします。

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